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錆と戦い続けるオヤジのコラム

「第5回」防錆紙と防錆油の効力はどちらが大きいか

カテゴリ:【その他

防錆油に多くの種類があることは、このコラムの第1回でお話しました。
防錆油の使われ方がさまざまであることを映しているといえるでしょう。
このさまざまな使い方のなかには防錆紙で置き換えることができる場合がいっぱいあると思います。
私は、防錆油をお使いになっている方々にも防錆紙を正しく知って欲しいと願っています。

そこで、防錆紙と防錆油とをくらべることで、防錆紙の理解を深めていただこうと考えました。
今回から3回に分けて、いくつかの品質において防錆紙と防錆油とをくらべたときどちらが勝るか、
お話しましょう。

まずは防錆性能を取り上げます。
防錆紙も防錆油も多くの種類がありますが、それらを細かく分けずにおしなべてエイヤーでまとめてくらべますと表3のようになるでしょう。

評価の欄にある黒のマーキングが左にあるほど望ましいことを表わしています。これは、試験結果に基づいて判定したわけではなく、私の経験と知識からざっくりと導いたものです。

(a)"防錆力"は両者とも優れていて優劣はつけられないと思いますが、使われる環境によっては優劣があるかもしれません。

 

(b)"速効性"については、防錆紙よりも防錆油のほうが優れているでしょう。

何故ならば、防錆油の場合は油膜ができればすぐにバリア効果が発揮できるのに対して、
防錆紙の場合には防錆紙から防錆剤が気化して相手の金属に到達しないと性能を発揮できません。
ですから、性能を発揮するまでにわずかながらも時間がかかります。

 

一方、(c)"複雑な形状部分への効果"は、防錆紙が勝っているでしょう。

防錆油は、さらさらしているものを選んだとしても、所詮は液体ですから、その表面張力のために、
小さい孔の中や複雑な形状の金属製品の隅々など微細な部分には入り込みにくい性質があります。
それに対して防錆紙の場合は、防錆紙から気化した防錆剤は気体ですから、
どんな細かな場所にも入り込めます。

 

最後の(d)"汎用性"については、明らかに防錆油が勝っていると言えます。

防錆油は油膜によるバリア効果によって金属を保護していますから、金属の種類によって効果の大きさが変わることはありません。
他方の防錆紙は、金属表面に化学的に作用する防錆剤の働きによって金属を防錆しますから、
防錆紙は金属の種類にかかわらず何でも良いというわけにはいきません。
相手の金属にマッチした防錆紙が必要になります。選択を間違えると防錆どころか、逆に錆びさせてしまうこともあります。

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■著者情報

  • 名前
    清水良直(しみずよしなお)
  • 略歴
    長野県出身1947年生まれ
    大学で界面化学を履修し,ごく微量の化学物質によるさまざまな現象に興味をおぼえた。
    社会人になって6年目に「防錆紙(ぼうせいし)」と出会い,金属のサビをごく微量の化学物質で防止する技術に感動。 以来,社内での出世を棒に振ってまで,研究や新製品の開発に従事しながら,業界団体での活動にも参加。
    会社を辞めた後も業界団体の教育活動「防錆技術学校」の講師として,防錆管理士を目指す若者の教育・指導を継続。
    2002年、アドコートの技術顧問に就任。
  • 主な雑誌投稿や著作
    防錆管理……防錆紙に関する解説記事,研究発表など
    コンバーテック……「防錆包装再考」シリーズ
    防錆技術学校……「気化性防錆材」などの教科書
  • 日本工業規格の制定・改正
    JIS Z 0303,JIS Z 1535,JIS Z 1519,JIS Z 0320,JIS Z 0321
  • 防錆についての想い
    金属製品の一時防錆にかかわってきた経験や技術をつうじて社会に貢献するとともに, 技術を伝承することによって後輩たちの育成に努めたい。
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