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錆と戦い続けるオヤジのコラム

「第3回」なぜ錆(さび)が生じるのか?【酸化と還元について】

カテゴリ:【その他

正しい用語として、『錆(さび)は鉄のみ』、『腐食(ふしょく)は鉄を含めた金属全般』に用いますが、この記事では読みやすくするため、「錆(さび)」で統一しています。また、正しくは、『○○分子』や『○○原子』とすべきところもありますが、読みやすくするために『○○』とさせていただきます。

 

この世の理(ことわり)として、『物体はより安定した状態へと変化』します。常温の水を冷やせば0°Cで氷(液体から固体)になり、加熱すれば100°Cで水蒸気(液体から気体)になります。一般的な生活環境で「100°Cの氷(水の固体)」は存在しません。その理由は、水にとって100°Cで氷の状態(水の固体)は不安定だからです。また、山の頂など標高の高い場所では、水が100°C以下で沸騰します。それは気圧が下がった影響によって、水が100°C以下で沸騰(水の気化、水蒸気)する方が安定するためです。

 

では、なぜ金属が錆びるのか。単純なことで、「不安定な(錆びていない)状態だから安定な(錆びた)状態に変化する」ということです。その不安定な状態の金属にニーズがあるため、我々研究者は防錆処理/防錆包装の研鑽を積んでいます。

 

ここで、鉄を例に挙げて説明いたします。

鉄は自然界で鉄鉱石(鉄にとって安定な状態)として存在します。硫化鉄という状態の鉄も多く存在しますが、話が複雑化しますので今回は省きます。鉄鉱石を単純に言えば「錆の塊」です。錆は主に「鉄 + 酸素」でできていますので、「酸素」を除去することで「鉄」が残ります。ただ、先ほどから述べているように、鉄そのものは自然界では不安定なため、空気と反応して錆の状態(鉄にとって安定な状態)に戻ろうとします。

 第3回-1.JPG

 錆になる反応は、「酸化反応」と「還元反応」を組み合わせた「酸化還元反応」です。この酸化反応および還元反応は、片方だけが起こる反応ではありません。必ず両方起こります。

「酸化」と「還元」の定義は、下記の通りです。

第3回-2.JPG

鉄の酸化反応と還元反応は、下図のようになります。

第3回-3.JPG

生じた鉄イオン(II)1個と水酸化物イオン2個が結合することで、水酸化鉄(II)ができます。これがさらに反応して水酸化鉄(III)となるのが、お馴染みの『赤錆』です。

単に「鉄の錆」と言っても、「水酸化鉄(II)」や「オキシ水酸化鉄」「四酸化三鉄」など、金属が置かれている環境によってできる物質が異なり、その性質(色など)も異なります。

 

次回担当の5回目では、「錆のニオイ」について解説いたします。

 

【 細 川 】

■著者情報

  • 名前
    清水良直(しみずよしなお)
  • 略歴
    長野県出身1947年生まれ
    大学で界面化学を履修し,ごく微量の化学物質によるさまざまな現象に興味をおぼえた。
    社会人になって6年目に「防錆紙(ぼうせいし)」と出会い,金属のサビをごく微量の化学物質で防止する技術に感動。 以来,社内での出世を棒に振ってまで,研究や新製品の開発に従事しながら,業界団体での活動にも参加。
    会社を辞めた後も業界団体の教育活動「防錆技術学校」の講師として,防錆管理士を目指す若者の教育・指導を継続。
    2002年、アドコートの技術顧問に就任。
  • 主な雑誌投稿や著作
    防錆管理……防錆紙に関する解説記事,研究発表など
    コンバーテック……「防錆包装再考」シリーズ
    防錆技術学校……「気化性防錆材」などの教科書
  • 日本工業規格の制定・改正
    JIS Z 0303,JIS Z 1535,JIS Z 1519,JIS Z 0320,JIS Z 0321
  • 防錆についての想い
    金属製品の一時防錆にかかわってきた経験や技術をつうじて社会に貢献するとともに, 技術を伝承することによって後輩たちの育成に努めたい。
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